2006年03月27日

映画「クラッシュ」を観て、元在日が感じたこと

先日、アカデミー作品賞を受賞した映画「クラッシュ」を観てきた。

この映画は、アメリカのロサンゼルスを舞台にした映画で、
アメリカで暮らす多くの人種の間にある偏見がテーマの中心にある。

第78回アカデミー作品賞ノミネート一覧に少数派という共通テーマを感じる」、
こういう話を少し前に書いたこともあり、内容も気になったので観て来た。

この映画を観て感じたことを今回は書く。
 

とりあえず面白かった。
この映画はコメディーでもアクションでもないが、面白かった。

一つは、映画の構成だ。
クラッシュでは、一つのストーリーで描かれているのではなく、
いくつものストーリー(いずれも人種偏見が関係する)が描かれるのだが、
あまり関係ないようにみえた出来事が、映画が終わるまでに、
それぞれ微妙にあるいは強く絡み合う。

それから、ちょっとしたビックリやどんでん返しがうまく使われている。
もしこのビックリやどんでん返しをストーリーの中心に持ってきたら、
陳腐な映画になったのだろうが、うまくサブストーリーに絡めているので、
観ていて飽きさせない。

観終わって冷静に考えると、ちょっと都合よく絡みすぎかとも思うが、
むしろ映画の中ではリアリティーを高めている。

人の差別意識に加えて、窃盗や殺人など、描き様によっては、
重くなったり、現実感のないアクション・ドラマになりそうな話を
非常に上手にまとめている印象を受けた。

このあたりは、映画「トラフィック」にも一脈通じる。
スティーブン・ソダーバーグ監督による、米国が抱えるドラッグの問題
について描いたこの映画の脚本は、クラッシュの監督が書いたものだ。

もう一つは、人種偏見についての描き方だ。
登場人物は、あけすけに差別的な発言を繰り返す。
クラッシュでは、白人、黒人、ラテン系、アジア系と
さまざまな生まれの人間が登場するが、そのすべてが、
いろいろなな問題を抱える人間として描かれる。
完全な人間や善玉として登場するのではない。なかには犯罪者も登場する。

差別的な人間だからといって愚かに描かれるわけではないし、
最後に少数派の人間にやっつけらてハッピーエンドで終わったりしない。

完璧な人間などいないし、この世は完璧でもない。
映画を観終わって、改めてこのことを感じた。

個人的には、ラテン系とおぼしき錠前屋とその子の会話シーンがよかった。
それから、主人公といってもいい黒人刑事が、
「トラフィック」出演者だったのに少しニヤリとしました。

以降は蛇足かもしれないが、
クラッシュを観た人ならわかるだろうが、この映画で取り上げられている
人種間の偏見と同じくらい重要なテーマがもう二つある。
ひとつは家族で、もうひとつは銃だ。

銃はあまり日本では大きな問題になっていないが、
人種偏見も家族も銃も米国では、普遍的で大きな問題のはずだ。
こういった重いテーマをいくつも取り上げながら、
決して重くてまじめなだけのものにせず、112分の長さにまとまっている。
多くの人が優れた映画だと思うのではないだろうか。

みなさんもよろしければ、クラッシュ観てみて下さい。

ここからはコメントに関するお願いです。
最初にコメントを書かれる際には、
自己紹介を一緒に書いてもらえないでしょうか。
年齢とか、学生なのか社会人なのか、簡単な考え方とか、
なぜ在日に興味を持つのかとか、そういったことです。
ご自身のblog、ブログがあるようなら紹介してもらえるとありがたいです。

理由は、私がこのblog、ブログへの関心を高めることができる、
という個人的なものです。
とりあえずしばらくは継続したいので、皆さんのご協力をお願いします。
コメントの内容をさらに深く理解するヒントにもなると思います。

もちろん、無理に自己紹介をお書きになる必要はありません。
その場合は、書きたいことだけをお書きになってください。
あくまでも私からのお願いです。よろしくお願いします。
posted by knj at 13:36| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙文の投稿にご返事をいただきどうもありがとう。わたしはすでに中年にさしかかっている会社員です。これは以前にも答えた覚えがありますが、なぜ在日に関心を持つのかというご質問は、なぜ実生活に関係ないはずの野球・サッカーに関心を持つのか、という質問と同じです。

わたしも見ましたよ、「クラッシュ」。実はお薦めしようかと思ったのですが、見る人によってどう受け取るかわからない作品なので躊躇しました。 善も悪も灰色の部分をも抱え込みながら生きている人間の多様性を描こうとした作品なのかなと思いました。

私が共感したのはテレビ局で地位を得た黒人です。彼の演技は素晴らしい。イラン人の、には不覚にも泣いてしまった。これはカップルか夫婦で見たほうがいいですね。人種という重いテーマを扱っているわりには、人と人が関わりながら生きていくことに希望を感じさせてくれました。わたしはもう何人かに見るように薦めています。以上、とりとめのない感想ですが。
Posted by アキレスの踵 at 2006年03月27日 21:37
>アキレスの踵さん
コメントどうも。

クラッシュを勧めてらっしゃいますが、一部、見る人の驚きを損ねる文章があったので削りました。「イラン人」のくだりの文章です。ご了解ください。
Posted by knj at 2006年03月27日 21:40
knjさん!御覧になられたんですね。
「トラフィック」、私も結構観た後重いものが
残った映画でしたが、この映画の監督が「トラフィック」の脚本の方だったとは知りませんでした。どちらの映画も、ハッピーエンドとはいいがたい終わり方ですよね。
黒人のエピソードなんですが、リンカーンの四駆?
高価だと思うのですが、アメリカ西と東に行った時よく見かけましたので、映画に出たときおっと思いました。
それと、アイドルだったマット・ディロンがすごく上手くなったなあ、と感じました。
Posted by だみあん at 2006年03月29日 14:53
>だみあんさん
またしてもコメントありがとうございます。

>どちらの映画も、ハッピーエンドとはいいがたい終わり方ですよね。

テーマがテーマなんで、脳天気に明るいと現実感がなくなるということもあるんでしょう。ただ、いくつものエピソードを重層的に重ねている映画なんで、明るさのある終わり方のエピソードを後に最後に持ってくることで、意外に暗さは感じない終わり方になっているな、というのが個人的感想です。

今、思い出しましたが、クラッシュに出演している黒人刑事は、やはり刑事の役でトラフィックに出演していた気がします。トラフィックでの役は麻薬取締担当だったので、まさか同じ名前ではないでしょうが、お気に入りの役者なんでしょうか。

>黒人のエピソードなんですが、リンカーンの四駆?
>高価だと思うのですが、アメリカ西と東に行った時よく見かけましたので、映画に出たときおっと思いました。

これは知りませんでした。この辺りの車の選び方も含めて、脚本が上手いんでしょうね。
Posted by knj at 2006年03月29日 23:44
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Weblog: soramove
Tracked: 2006-04-02 10:15
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